ゾッとする話

鍵屋として鍵交換や鍵の解錠をしていると時に背筋がぞっと寒くなるような体験をすることもあります。
これはこれからの暑い季節にはちょうどいい、こわ~いお話です。

あるとき、わたしはある集合住宅の一室の鍵の解錠を頼まれました。
住人本人からの依頼ではなく管理会社からの依頼でした。こういった依頼は少なくはありません。が、事情が複雑な案件が多いです。その時もそんなものだろうと思ってあまり気にせず現地に向かいました。

現場の建物内に入るなり、わたしはなにか寒気を感じました。そして異様な臭気が周囲にたちこめています。その建物は外観からしてほとんど入居者がいないとわかる、廃墟のような静まり返った建物でした。

管理会社の人は二人ついてきてくれました。そして案内された部屋の前にやってきて、さっそく解錠をはじめます。
が、レバーハンドルを触ったら何か静電気のような痛みを感じ、思わず声を出してしまいました。

なにかがおかしいと思いましたが仕事なので鍵を解錠します。が、何度解錠しても何故か内側から鍵がかかってしまうのです。
そしてついには耳元で「やめろ~」という声まで聞こえてきました。
さすがに怖くなって管理会社のふたりにそのことを伝えます。するとそのうちのひとりも声が聞こえたらしく、ブルブルと震えていました。

事情をきくと部屋の住人の女性はその中で自殺されたそうです。家族が発見し、その後きちんと体質手続きはしたものの、何故か開かずの部屋になってしまったそうなんです。

その集合住宅はやがて取り壊されて今では新しい住宅街となっています。しかしわたしは今でもそこに近づかないようにしています・・・。